企業、公益法人における金融商品被害 | スワップ取引とは

スワップ取引とは、キャッシュフローを交換(SWAP)する取引のことです。
ここにおけるキャッシュフローは、取引時点において価値が等しく、 将来受け取ったり支払ったりするものです。
典型的なスワップ取引としては、金利スワップ、通貨スワップなどがあります。

金利スワップとは、同じ通貨で種類の異なる金利同士を交換する取引です。
例を挙げて説明しましょう。取引の当事者をAとBとします。
Aが銀行から1億円を期間3年間でLIBOR (ロンドン銀行間取引金利)に基づく変動金利で借りているとします。
しかし、Aとしては、金利変動のリスク、すなわち、将来金利が高くなるリスクをとりたくありません。
そこで、Bとの間で、(1)AがBに対し1億円についての固定金利2%の利息を 銀行からの返済期間である3年間払うとともに、 (2)BがAに対し1億 円についてのLIBORに基づく変動金利を同じく3年間支払うことを 内容とする金利スワップの契約を締結します。

Aが銀行に支払う金利(①)及びBがAに支払う金利(③)は、変動金利で同額です。
そこで、AはBから支払ってもらったお金(③)を銀行にそのまま支払えばよいことになります。
将来、①の支払いについての変動金利の金利が上昇し支払う金額が増えても、 ③の支払いの金額も増えますので、結局、AはBに対する固定金利2%を支払い続ければいいことになります。
他方、Bは、上記変動金利が固定金利2%を下回っている限り、 利ざやを稼ぐことができることになります (反面、変動金利が固定金利2%を上回った場合は、余分に支払わねばならないことになります)。

これに対し、通貨スワップとは、異種の通貨の元利金を交換する取引です。
これも例を挙げて説明しましょう。同じく取引の当事者は、AとBにします。
現時点で、1ドル=100円の為替相場だとします。
Aは、これから5年間、毎年10万ドルの原材料を米国業者から仕入れるとします。
現時点では、1ドル=100円ですので、10万ドルを支払うためには、 1000万円を用意しなければなりません。
しかし、将来円安となり、1ドル=120円になると、1200万円を用意しなければならなくなります。
Aとしてはこのような為替変動のリスクを取りたくありません。
そこで、Bとの間で、5年間、毎年、AがBに1000万円を支払い、 Bが10万ドル支払う通貨スワップ契約を締結することが考えられます。
こうすれば、Aは、為替変動のリスクをヘッジする(防ぐ)ことができ、 結果的に毎年1000万円の負担で、原材料を購入することができます。

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スワップ取引の危険性

1 リスクヘッジとしてのスワップ取引の危険
リスクヘッジとして、スワップ取引を行う場合、それが適正妥当に使用されている場合は 問題がありません。
いわゆる、オーバーヘッジの状態となっていると、損害が発生することになります。

平成17年(2005年)12月2日、公正取引委員会が
「株式会社A銀行は、自行と融資取引融資取引関係にある事業者であって、 その取引上の地位が自行に対して劣っているものに対して、 融資に係る手続を進める過程において、事業者との間で設定される想定元本 (金利計算のための計算上の元本。以下同じ。)を基礎として算定された異なる 種類の金利を契約期間において交換することを内容とする 金融派生商品(以下「金利スワップ」という。)の購入を提案し、 金利スワップを購入することが融資を行うことの条件である旨又は金利スワップを 購入しなければ融資に関して不利な取扱いをする旨を明示又は示唆することにより 金利スワップの購入を要請し、金利スワップの購入を余儀なくさせる行為を取りやめなければならない。」等、 当該銀行が融資先である企業に対し、その優越的地位を濫用し、 スワップ取引を購入させたことに対し、その行為の取りやめ等を勧告したのに対し、 当該銀行が応諾したことから平成17年12月26日、同意審決となった例があります。

この同意審決は、 「A銀行は、事業差yにおける金融機関からの借り入れ(特に、他の金融機関からの借入れ)に 係わる支払い金利の種類、弁済条件等の個別の借入れの内容及び事業者における 将来の金融機関からの回礼れの予定について十分に検討することなく、 また金利スワップの想定元本又は契約期間が、 金利上昇リストのヘッジの対象となる借入れの元本又は契約期間を上回る設定 (金利スワップの想定元本が契約貴期間中に金利上昇リスクのヘッジの対象とした 借入れの元本を上回ることになる設定も含む、以下「オーバーヘッジ」という。)と なる金利スワップの購入を提案し、販売している場合がある。」

とした上で、

「これらの行為の結果、金利スワップの購入を余儀なくされた融資先事業者は、 融資に係わる支払金利に加えて、当該金利スワップの契約期間において 金利スワップに伴う固定金利と変動金利の差額を支払い続けなければならず、 また、当該金利スワップを契約期間中に解約しようとするときには一括して 所要の解約清算金を支払わなければならず、融資に係わる支払金利以外の 金銭的負担を強いられることになっている。」 としています。

むろんこれは、優越的地位を濫用して銀行にスワップ取引の購入を させられた事例ですが、オーバーヘッジの弊害は、仮に自分で購入した場合でも同様です。

2 投資としてのスワップ取引の危険性
前記のようにスワップ取引は、リスクヘッジの機能を持つものですが、 問題になる多くのケースの場合、スワップ取引を購入する当事者は、 リスクヘッジのためではなく、投資として、スワップ取引を購入します。

しかし、当然のことながら、スワップ取引を販売する側は、自分自身に有利な取引と認識しなくては、 契約を締結しません。

そのため、一見、購入者に有利なように見える取引でも、スワップ取引等のデリバティブ契約では、 バランスをとるために特殊な条項が入れられることがあります。
このような条項に、ノックアウト・オプション、ノックイン・オプションがあります。

ノックアウト・オプションというのは、 「対象となる原資産が一定の価格水準に達すると(※ 当該契約等)が消滅する」こと を定めた条項のことであり、ノックイン・オプションとは、 「あらかじめ決められた期間(モニタリング期間または観察期間という)中に、 対象となる原資産が一定の価格水準に達すると発生する」条項です (引用は、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会編「金融商品取引被害救済の手引(五訂販)409頁から、※は私)。

これだけでは、抽象的ですので、 AとBの間で5年間、毎月、AがBに100万円を支払い、Bが1万ドル支払う通貨スワップ契約の例で、説明します。

契約締結時の今が、1ドル=100円の為替レートだとします。
ノックアウト・オプションの例としては、 例えば、為替レートが120円以上の円安になるとこの契約自体が消滅する というような条項が挙げられます。
また、ノックイン・オプションの例としては、為替レートが90円を越える円高になった場合、 その為替レートが維持されている期間、契約の内容が、毎月、AがBに200万円を支払い、 Bが2万ドル支払うとの内容に変更するとの条項が挙げられます (それぞれ、例であり、内容的には、さまざまなものがあります)。

為替レートが、120円と言うことは、1万ドル=120万円ということになります。
しかし、本来のスワップ契約では、Bは100万円と引き換えに、Aに1万ドルを支払わなくてはならず、 差額200万円は、Bの負担となります。
為替が円安になればなるほど、Bの負担部分は大きくなります。
しかし、上記のようなノックアウト・オプションがあれば、契約が消滅することになりますので、 120円以上の円安になれば、Bは負担を免れることになります。

他方、為替レートが90円と言うことは、100万円=約111万円ということになります。
この差額約11万円はBの利益となりますが、上記のようなノックイン・オプションが合った場合、 さらに、90円を超えるような円高になった場合、倍の200万円=2万ドルの取引を行うことになりますので、 Bの利益が倍になるとともに、Aの損失も倍になります。

リーマンショック以降の円高により、このようなデリバティブ取引を行っている会社等の損失が発生、 増大したのは、上記のようなノックイン条項の存在も原因の一つです。

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